伽藍エッセイ<2>
ながめる心

何ら深い関係もないのに、何十年たっても、その容姿から表情しぐさまで鮮明に覚えて色あせない人がいる。その鮮明さは不思議なほどで、高校の古文の女性教師がその人だった。 ある、うららかな春の午後、先生は平安初期の歌人で世界三大…