巨木のガジュマルが生い茂る中庭は、
館内にいながらより近くで自然に触れられる、わたしの好きな場所の一つです。
そんなガジュマルの根元には、夏の木漏れ日を浴びて静かに鎮座する石仏が。
今日はその石仏をご紹介します^^
[ガジュマルの根元に佇む円空僧]
石仏は「胎内円空」と名が付けられており、
円空岩と呼ばれる大きな岩の下で、円空僧が観音様を彫っている姿が表現されています。
よく見ると観音様は蓮の蕾を手にしていることがわかります。
蓮は泥の中にあっても水をはじき汚れることなく美しい花を咲かせることから、
この世の様々な苦しみの中でも徳を積み、自分の花を咲かせることを意味しています。
観音様を彫る円空の姿は、観音様を拝むようにも見え、
そして死別した母親に寄り添うようにも感じられます。
また、狭いところに籠もって修行するのは、母親の胎内に戻ることも意味すると言われています。
もしかしたら円空僧が仏縁を深くしたのは、そこに母親を求め重ねていたからかもしれません。
円空僧は今日も穏やかな表情で、訪れる人を優しく見守ってくれるようです。
[写真左:観音様 / 右:円空僧]